令和7年度施政方針

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ページ番号 1014644  更新日 2025年2月18日

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令和7年2月磐田市議会定例会に、令和7年度各会計予算をはじめ、各議案を提案し、ご審議をお願いするにあたり、市政運営の基本方針並びに予算案の諸事業について、所信の一端と施策の大綱をご説明申し上げます。

<令和6年度を振り返って>

 まず令和6年度を振り返らせていただきます。令和6年度は、『みんなでつくる!未来「共創」予算』をテーマに掲げて、「共創」という考え方を軸に3つの重点戦略を掲げて事業を進めてまいりました。

 1つ目の「働く場所・雇用の共創」では、オフィス立地に対する支援により、地元雇用の創出が図られ、中高生向けの地域課題解決プログラムの開催や、高校生向けの勉強スペースとしてオフィスを開放していただくなど、新たな取組により駅前活性化や魅力ある人が集まる可能性を広げることができました。

 また、新たな特産物としてのレモンの産地化に向けては、圃場整備等に対する補助金を創設した上で、関係機関等との連携により栽培の指導や販路確保を行うなど、農業経営の安定化や荒廃農地の未然防止を進めたほか、金融機関等と連携した中小企業のDX・脱炭素投資への支援や、関係機関と連携した障がい者の就労支援の充実など、安心して働き、幸せに生活できるまちに向けた取組を進めることができたと考えています。

 2つ目の「住みたくなる・集まりたくなるまちに向けた共創」では、安心して子育てができる支援体制の充実として、食事提供や学習支援など子どもを中心に多世代が集(つど)える「こどもの居場所づくり」への支援を進めたほか、中学生が自分のやりたい活動に参加できる環境を整えるため、学校や地域団体等と新たな地域クラブ活動「SPO☆CUL IWATA」を実施するなど、子どもたちが健やかに成長できる環境づくりを進めることができました。

 また、防災・減災では、静岡県と連携して海岸防潮堤の整備を概ね予定通り進めるとともに、頻発する水害への対応として「水災害対策プラン」を策定し、敷地川や一雲済川流域など治水対策の道筋を示した上で事業に着手できたほか、市と地域の連携による地下水観測用井戸を利用した災害時の生活用水確保の取組など、地域とともに災害を乗り切るための対策を進めることができました。

 このほかにも、ジュビロ磐田と連携した移住体験ツアーの実施や、各種士業との連携による「空き家おこしプロジェクト」の立ち上げなど移住定住の促進に向けた取組のほか、磐田商工会議所新会館やホテルがリニューアルオープンするなど、市内外から多くの方々に訪れていただける新たな拠点が市内に誕生し、賑わいの創出や交流が生まれる期待感が高まってきたと実感しています。

 3つ目の「新たな価値・魅力の共創」では、本市が誇るスポーツ資源を活用し、スポーツチームや企業、大学、団体などと一緒になって地域課題や社会課題の解決に取り組む場として「スポーツプラットフォーム」を設置したことに加え、今後の施設の維持・整備に向けたスポーツ施設再編整備の検討を進めるなど、本市の強みであるスポーツを軸とした新たな取組も進めることができました。

 また、歴史・文化では、本市と徳川家康との新たな繋がりが提唱された歴史講演会の開催や、市民文化会館「かたりあ」で初めて宝塚歌劇団の全国ツアー公演や市民団体による音楽コンサートが開催されるなど、魅力的で多様な舞台公演を多く開催することができました。

 このほかにも、観光・交流の推進として、観光協会や商工団体と連携し、地域の人と場所の魅力を体験するイベントとして「いわたおんぱく」を初開催したほか、豊田ラブリバー公園に障がいの有無に関わらず、誰でも楽しむことができるインクルーシブ機能を有した「ロボット型遊具」を、地域からの声をもとにリニューアルするなど、本市の宝であるスポーツや歴史、文化など、様々な地域資源を活用し市内外の方々に発信することで、賑わいの創出や市への誇り「シビックプライド」の醸成にも繋げることができたと考えています。

 加えて、政策推進の5つの柱に関しても一端をご説明申し上げます。

 「子どもたちの安心」では、子ども・若者・妊産婦・子育て家庭等へ包括的な支援を行うため「こども若者家庭センター」の運用を開始しました。また、不登校児童生徒に対する新たな支援の選択肢として公設民営による第3の教育支援センターの運営を開始したほか、学校づくり整備課を設置し向陽学府小中一体校の設立準備や、トイレの洋式化の推進、老朽化していく教育施設の現状共有のための市民との対話の場づくりを進めました。

 「暮らしと健康の安心」では、福祉相談課を設置し相談機能のさらなる拡充を図るとともに、福祉政策課では高齢者や障がい者福祉全般の企画立案機能を高めたほか、障がい者の緊急時支援や高齢者へのフレイル予防の充実を進めました。

 「まちづくりと防災への安心」では、Jクレジットの活用に向けた協定締結や省エネ家電への買替支援によるカーボンニュートラルを推進したほか、防災機能を備えた豊岡支所の整備を進めました。

 「未来と仕事の安心」では、沿岸部の活性化を目的に、新たな産業用地の開発に向けた取組や、販路開拓・インバウンドの取り込みを目指して、産業交流を目的としたタイへの訪問事業など、産業面での新たな展開を模索する事業を実施しました。

 「安心できる市役所づくり」では、市民のまちづくりへの主体的参加を理念に掲げた「磐田市みんなが主役のまちづくり条例」の整備や新設した人材戦略室による「自ら学び考え行動する自律型職員の育成」など、5つの安心に繋がる取組も着実に実施してきました。

 このように、総合計画に掲げている「安心できるまち、人が集まる磐田市」の実現に向けて、多様な方々と一緒になって着実に歩みを進めることができた1年であったと考えています。

<令和7年度当初予算の全体像>

 次に、令和7年度当初予算の全体像について説明いたします。

 基本目標は、「安心できるまち・人が集まる磐田市」とし、第2次磐田市総合計画 後期基本計画で設定した「5つの安心プロジェクト」を政策推進の柱として継続していきます。

 そのうえで、令和7年度の当初予算のテーマは『共創で未来を育む投資予算』としました。

 進行する少子高齢化・人口減少、物価高騰や自然災害の頻発・激甚化、急速なデジタル化によって深刻化、複雑化する情報セキュリティ問題などの不安がある社会において、一人一人が安心できる土台の上に幸せを感じられ、さらにその状態が持続するまちづくりを実現するには、より多くの市民が主体的に、「自分ごと」としてまちづくりに関わってもらうことが大切だと思っています。その手段として、「学びと対話」によりビジョンや先進、先端事例を市民の皆さんをはじめ、地域、事業者、学校など多くの方々と共有した上で、新たな価値や挑戦を共に創りあげる「共創」の考え方を軸に各事業に引き続き取り組んでいきます。その考え方のもと、令和7年度は4つの重点戦略「地域経済活性化の共創」、「子育て・学びの環境の共創」、「緑とにぎわいの共創」、「共創で盛り上げる市制20周年」を掲げました。そして、これまで磐田の土台づくりを支えてくださった先人が行ってきたように、未来を見据えて「ひと」や「もの」といったこのまちの魅力にしっかり再投資していく予算編成としました。

 次に、当初予算額についてですが、一般会計の予算額は、869億7,000万円となりました。前年度比127億3千万円、17.1%の増となり、3年連続で過去最大の規模です。

 このような予算規模となった主な要因として、これまでも進めてきた海岸堤防や向陽学府小中一体校の整備の推進に加え、小中学校体育館の空調設置、消防庁舎の建設事業などにより、普通建設事業費が大幅に増額となったこと、民間認可保育園等に対する給付費や児童手当など扶助費の増額、定額減税補足給付金給付事業など物価高騰に伴う経済対策事業を計上したことなどがあります。

 これらの財源となる歳入は、個人市民税について、景気の持ち直し等による給与所得の増加を見込み前年度比で増額としたほか、最終年度を迎える合併特例債を最大限活用するなど、「もの」として残る普通建設事業に対しては積極的に起債することとし、最終調整は財政調整基金の繰入などにより対応していきます。

 一般会計・特別会計・企業会計の総予算額は、1,591億3,810万9千円で、前年度比9.4%増となり、全会計でも3年連続で過去最大規模となっています。予算規模が過去最大となった中でも、基金残高は確保しながら、引き続き、将来的に持続可能な財政運営に努めていきます。

<令和7年度当初予算の4つの重点戦略>

 次に、令和7年度に掲げた4つの重点戦略について、詳細を説明いたします。

 その1つ目は、「地域経済活性化の共創」です。

 安心して暮らし続けるため、そして若者たちに暮らす場所として選んでもらうため、生活基盤を支える働く場や雇用の安定、活躍できる場づくりをより充実させていきます。本市では近年、多くの次世代産業が進出するなど、新たな動きが生まれる機運が高まってきていると感じています。中心市街地や沿岸部の活性化をはじめとした課題解決、未来のまちづくりへのチャレンジに向け、市内企業や今後進出が見込まれるスタートアップ企業、行政などが連携するコミュニティを形成し、ともに学び、共感した上でアイデアや解決策を創り出し、実行していく仕組みを動かしていくとともに、財源確保のため「ふるさと納税」の取組など、地域産業の活性化を図る取組を推進していきます。

 また、未来への投資として、子どもや若者世代の社会的・職業的自立に向けた「生きるチカラ」を育むことが大切であると考えていることから、従来からのキャリア教育に加え、子ども向けの職業体験事業「アウトオブキッザニア」を開催し、子どもたちの地元企業への関心の高まり、そして将来の就職・定着につながる取組も実施していきます。

 このほかにも、多様な業種の企業誘致や立地に対する支援を進めるほか、ゼロカーボンシティ実現に向けた中小企業の脱炭素投資への支援やJクレジットの活用、レモンの産地化をはじめとした元気な農林水産業の育成・支援など、さらに地域経済活性化に向けた取組を進めていきます。

 なお、未来への投資のため、普通建設事業に対して思い切った予算付けをしたことは、公共事業を通しての地域経済活性化につながるものと考えています。

 2つ目は、「子育て・学びの環境の共創」です。

 未来を担う子どもたちの成長を保護者やシニア世代、事業者など様々な人たちが子どもをど真ん中に据えて見守り、支えることで、すべての人に笑顔と元気が広がっていくことが幸福感の高いまちの特徴だと考えています。またその支え合いの中で、子育てが負担だというイメージも軽減され少子化の進展を遅らせたり、関わる全ての世代の方が生きがいを感じられたりする取組を進めていきます。

 子育て支援においては、初めて子どもを授かったご夫婦などに家庭内の役割分担や育児の楽しみ方を伝えるプレパパママ教室の実施、公立こども園の預かり保育を利用する園児への給食提供を通年実施に拡大するほか、子どもたちが安心して過ごすことができ、世代を超えて交流できる居場所を増やすための支援制度や寄り添い型の支援の充実に向けた取組を継続していきます。

 また、子どもたちが安心して快適に学び、活動できる質の高い教育環境の整備は、地域の様々な世代の方からご要望をいただいています。そこで暑すぎる夏季の対応のための学校体育館への空調整備や富士見小学校の増築、老朽化している磐田北小学校の整備基本構想に着手するなど教育施設の再構築を進めるほか、不登校状態にある児童生徒の学校内の居場所として校内教育支援センターの拡充や放課後児童クラブの民間委託化によるサービス拡充など、ハード・ソフトの両面から環境整備を進めていきます。

 加えて、4年間継続してきた「磐田ここからラボ」も市民や事業者、地域づくり協議会等にさらに展開し、まちづくりワークショップの開催や市の若手職員と民間企業等との異業種交流研修など、多様な学びの場所や対話の機会を創ることで、世代間や業種を超えた新たなつながりづくりや事業づくりの取組も進めていきます。

 3つ目は、「緑とにぎわいの共創」です。

 本市が元々持つ自然の特性を活かし、賑わいと魅力あふれるまちを目指すとともに、自然と調和した緑の豊かなまちを次世代に残すために、市民や事業者などとの共創による土台づくりを進めていきます。

 最初に「緑」の考え方についてですが、自然の機能を活用して防災や環境保全、地域創生などを推進する考え方は、先端の都市基盤づくりの重要な要素となっており、「グリーンインフラ」とも呼ばれています。この「グリーンインフラ」を街中に広げて、活用していくには、市民をはじめ、事業者や学校、自治会や神社仏閣など地域と一体となって進めていくことが大切であるため、まずはその指針となる「緑の基本計画」の策定に取り組むことに加え、魅力的な景観づくりに向け、駅周辺を中心とした街路樹整備や、海岸堤防に植樹を行うなどの取組を進めていきます。

 このほかにも、スポーツのチカラで新たな価値を探るプラットホームの推進や、文化では展示施設の整備など、本市の持つ強みを更に磨いていくことはもちろんのこと、地方創生に資する民間団体等の取組をクラウドファンディングで支援する新たな取組や、多様な主体との共創によるシティプロモーションの向上、地域おこし協力隊など外部人材を活用した課題解決の取組も進めていきます。

 4つ目は、「共創で盛り上げる市制20周年」です。

 令和7年度は、市制20周年という節目の年を迎えます。

 市民の皆さんと一体となって、記憶に残る1年となるよう、記念式典や各種イベントを始めとした事業の実施や、市民や団体等が行う事業の実施を支援するほか、本市の魅力を広く発信することで、市内外の人たちとの交流機会の創出を図るなど、20周年を共に祝い、盛り上げていきたいと考えています。

 加えて、市制20周年の磐田の姿をしっかり記録に残し、次の30周年、また、その後の未来につなげていきたいと思います。

 このほか、4つの重点戦略以外にも、安心の土台を固めるため、5つの安心プロジェクトに添って事業を進めていきます。その一端として、「まちづくりと防災の安心」では、「治水対策推進室」を設置し、水災害対策プランに基づいた対策を着実に実施するとともに、かねてから課題であった津波避難タワー上の資機材の充実や大規模災害時における備えの充実、新消防庁舎の整備など、引き続き災害に強いまちづくりを進めていきます。

 「暮らしと健康の安心」では、高齢者が安心して元気に暮らし続けるために、成年後見支援センターや終活おうえん窓口などの相談体制の推進や、フレイル予防や介護予防など、予防対策を継続して実施していくとともに、新たに帯状疱疹ワクチンの定期接種の開始や、補聴器購入費助成の拡充にも取り組んでいきます。

 「安心できる市役所づくり」では、未来の磐田市の道しるべである次期総合計画の策定と都市計画マスタープランの改訂に向けた調査に着手するほか、外部人材の活用や職員能力の向上を図るための研修の充実、公民連携のさらなる推進など、様々な事業を新たに始めたり、拡充したりするなど、未来へ向けての安心づくりに引き続き取り組んでいきます。

<安心できるまち・人が集まる磐田市を目指して>

 結びに、今年はアメリカでのトランプ政権の発足や2025大阪・関西万博が開催されるなど、世界的にも情勢の大きな変化が見込まれます。変化にしなやかに対応しつつ、目指す姿である「安心」を土台に、「人が集まる磐田市」を実現するため、市民の皆さんとこれまで以上に対話を重ね、不安や課題に耳を傾けて、一人ひとりに寄り添いながら、市民や事業者の皆様に自分たちのまちのこと、自分たちの暮らしのことを主体的に考え、関わっていただく「共創」を軸に、市長就任以来掲げている、市民が「安心できること」を土台に、幸せ(ウェルビーイング)と誇り(シビックプライド)を実感でき、将来に希望が持てる持続可能(サステナブル)なまちを目指していきたいと考えておりますので、議員各位をはじめ、市民の皆さんのご支援、ご協力を心よりお願い申し上げ、私の施政方針とさせていただきます。

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