3 学校における子どもの読書活動の推進

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ページ番号 1003035  更新日 2018年8月22日

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学校の体制づくり

学校は、従来から国語など各教科における学習活動を通じて、読書活動を行っており、子どもの読書習慣を形成していく上で、大きな役割を担っています。国で示されている学習指導要領にも、「学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り、児童生徒の主体的、意欲的な学習活動や読書活動を充実する。」こととなっています。それぞれの学校においては、子どもの発達段階に応じた読書活動計画やきめ細かな体制づくりが重要です。そのためには、校長や教職員が一体となって子どもの読書活動の習慣づくりに対する共通理解を図っていくことが必要です。

1 学校の果たす役割、体制づくり

現状と課題

  • 各校では、自校の教育目標を受け、子どもの実態を踏まえ、特色ある学校図書館経営計画が作成されたり(小61%、中40%)、学校組織の中に学校図書館部を位置づけたりして、学校全体で取り組む体制づくりに努力しています。また、各校で図書館教育の目標を掲げ、その年度に取り組む努力点を明確にし、全職員で図書館教育に取り組んでいます。
  • 図書館の活用状況を調べた結果、国語、社会、理科、総合的な学習などの授業での活用が多く、調べ学習時における図書館のニーズが高まっています。また、学校図書館教育年間指導計画等を作成し(小65%、中60%)、教科学習や総合的な学習を中心に全教育活動における計画的な利用を促している学校も多く見られます。
  • 司書教諭※6 を中心に職員間の連携を図り、授業の中でティームティーチングの実施や学習に必要な資料提供を行って子どもの学習支援を行い、効果を上げている先進的な学校も見られます。またその一方で、司書教諭が発令されても、学校図書館における職務に当たる「図書の時間」が確保されていない、学級担任や他の校務分掌との兼務のために専任化が難しいという状況下にあり、十分な活動が行えない学校もあります。
    ※6 司書教諭 学校図書館法(昭和28年法律第185号)第5条では、「学校には、学校図書館の専門的職務を掌らせるため、司書教諭を置かなければならない。」と規定されており、当該教諭は、司書教諭の講習を修了した者でなければならない。

施策の方向

  • (ア)研修による教職員への啓発と学校内の協力体制の確立
    校内の学校組織の中に学校図書館部を位置づけ、自校の学校図書館経営計画を作成し、計画的・組織的な活動を展開していきます。また、校内研修や職員会議等を通じて読書指導の重要性や学校図書館の役割について教職員全体の共通理解を図ると共に、司書教諭を中心とした教職員の協力体制の確立を促していきます。
  • (イ)学校図書館の計画的な利用と年間活動計画の作成
    学校図書館の活動を効果的に実施するため、学習計画や行事予定等の教育計画との関連、年中行事や季節との関連を図りながら、全校的な年間活動計画を作成するよう働きかけます。
  • (ウ)司書教諭の職務の明確化と配慮
    司書教諭がその職責を十分果たせるよう、校内における教職員間の理解と協力を促し、職務に専念できる体制づくりをしていきます。

2 読書指導の充実

現状と課題

  • 磐田市において全校一斉の読書活動として、始業前の朝読書の実施率は、100%です。しかし各学校により一週間の実施回数はさまざまであるのが現状です。学校全体で読書習慣づくりに取り組むためにも、毎日実施することが望まれます。
  • 学級文庫を設置し、本が子どもの身近にある環境づくりに努力したり、学校独自に必読図書や推薦図書を定めて(小61%、中20%)、読書の質の向上をめざしていこうとしています。今後さらに、良書を選んで読む意識づけをしていくことが必要です。
  • 学校独自の読書週間を設け、本に関する楽しいイベントを企画したり、読み聞かせやブックトークなどの活動を行ったり、読書賞などを与え子どもが目標をもって読書に取り組める工夫をしたりと、子どもの読書意欲の向上をめざして、各校で様々な工夫した読書活動が展開されています。特に読み聞かせ活動では、保護者や地域の方の読み聞かせボランティアの協力を得て活動の充実を図っている学校が多く見られます。

施策の方向

  • (ア)朝読書、読み聞かせ等全校一斉の読書活動の実施
    今後も各校での朝読書、読み聞かせ等全校一斉の読書活動を推進していきます。朝読書を毎日継続していくことで読書の習慣化を図り、子どもが自主的に読書に取り組む姿勢を育てていきます。また、保護者や地域住民によるボランティアとの連携を図り、読み聞かせ活動を積極的に取り入れ、いろいろな本との出会いの場をつくり、読書意欲の向上を図っていきます。
  • (イ)読書時間の設定
    毎日10分間読書をすることを掲げ、学校や家庭における子どもの読書習慣の確立を促していきます。子どもの読書量を増やしていくことで、子どもの読書の幅を広げ、さらに良書を選んで読む力をつけることをめざしていきます。
  • (ウ)推薦図書や必読図書の選定
    子どもの読書の質的な向上をめざし、推薦図書や必読図書を選定し、子どもに優れた本や発達段階に応じた適書を与えていくよう、学校に働きかけます。
  • (エ)情報活用能力の育成
    各学校での学校図書館教育指導年間計画の作成を促し、学校図書館を効果的に活用することによって、各教科、特別活動、総合的な学習の時間に、調べ学習や多様な学習活動を展開し、情報活用能力の育成に努めるよう働きかけます。
  • (オ)先進的な取組の紹介
    読書活動の先進的な取組を行っている学校をホームページに掲載するなど、さまざまな機会を通じて紹介します。

学校図書館の整備・充実

学校図書館は学校教育に欠くことのできないものであり、子どもの自発的、主体的な学習活動を支援し、教育課程の展開に寄与する学習情報センターとしての機能を果たします。また、自由な読書活動や読書指導の場として、創造力を培い学習に対する興味・関心等を呼び起こし、豊かな心をはぐくむ読書センターとしての機能を果たし、学校教育の改革を進めるための中核的な役割を担うことが期待されています。学校図書館の運営にあたっては、校長の理解・指導の下、司書教諭が中心となり、教員、事務職員、ボランティアが連携・協力し、それぞれの立場から、学校図書館の機能の充実を図っていくことが重要です。

1 資料・設備の充実

現状と課題

  • 学校図書館における子ども一人当たりの冊数は、平均小学校で20.7冊、中学校で14.7冊です。図書標準を達成している学校の割合は、小学校で13%(3校)、中学校は0%で、県の平均を大きく下回っています。全体の蔵書数の充実だけでなく、本の質を高めていく努力も大切です。利用されていない古い本の廃棄とあわせて、子どもが手に取ってみたくなるような魅力的な本や、学習に役立つ本を充実させていくことが必要です。多くの学校が図書館にコンピュータを整備しています。図書資料をデータベース化している学校の割合は、小学校57%、中学校50%です。しかし、その設置台数は限られ、主に蔵書管理や貸し出し返却業務に活用されています。今後、学習情報センターとしての機能を果たす上で、学校図書館の情報化が課題となっています。
  • 学校図書館については、子どもが行きやすい、使いやすい場所を考慮して設置している学校があります。また、各棟に読書室を設置したり、目的に応じて読書用と調べ学習用の二つの図書館を持つなど、学校独自で工夫した環境づくりに取り組んでいます。
  • 学校図書館資源共有型モデル事業の実施地域(旧豊岡村校区)では、学校図書館等をネットワーク化した図書資料の検索及び貸借・流通システムの研究を進めています。今後、全校において公立図書館や他校の学校図書館とのネットワーク化が望まれます。
  • 空調設備が未整備のため、読書や調べ物の環境としては十分とはいえない面があります。

施策の方向

  • (ア)計画的な図書資料等の整備・充実
    学校図書館図書整備5か年計画に基づく地方交付税措置を活用するなど、図書資料等の計画的な整備が図られるよう促します。
  • (イ)魅力的な図書資料等の充実
    教師や児童生徒の要望と学校図書館として購入したいと考える図書について広い視野から検討し、授業に役立つ、子どもにとって読みたい本がある図書館をめざして図書資料の充実が図られるよう促します。また、新聞や雑誌、ファイル資料、視聴覚資料、教育用ソフトウェアなどを置き、授業の教材として提供したり図書と同様に児童生徒が利用したりできるように資料のマルチメディア化を図っていきます。
  • (ウ)施設・設備の整備・充実
    余裕教室の有効利用や図書資料とコンピュータ、視聴覚機器を持ち合わせた図書館など、先進的な事例を紹介することにより、各学校の実態に応じた施設整備が行われるよう働きかけていきます。また、空調設備の計画的な整備を図ります。
  • (エ)学校図書館の情報化
    学校図書館にコンピュータを整備し、図書資料等のデータベース化を促進すると共に、校内LANによって学校内のどこからも学校内外の様々な情報資源にアクセスできる環境の整備を促進します。
  • (オ)学校間、公立図書館との連携による図書資料等の有効活用
    学校図書館間や公立図書館とのネットワーク化を図ることにより、蔵書の共同利用の促進・普及を図ります。

2 学校図書館の活性化のための人的配置の推進

現状と課題

  • 学校図書館法の改正により平成15年度から、12学級以上の学校において司書教諭が配置されるようになりました。毎年、県の教育委員会主催の司書教諭発令者研修会も行われており、司書教諭としての役割や実務について研修を深めています。しかし、司書教諭がその職責を果たせるような授業時数の軽減や学級担任外であることなど、学校内での教職員間の連携と理解を図ることや体制づくりが大きな課題となっています。
  • 学校図書館の諸事務を担当する職員としての学校司書※7 の配置は、小学校3校、中学校1校です。学校図書館の管理運営面での役割を担う学校司書は司書教諭との連携の中で学校図書館の活性化を図るために、今後、全校への配置が望まれています。また、文字・活字文化振興法(平成17年7月29日法律第91号)では、国及び地方自治体が学校図書館に関する業務を担当する職員配置を図ることを求めています。

※7 学校司書 国の「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」(平成14年8月)では「学校図書館の諸事務に当たる職員」と規定され、「文字・活字文化振興法」では学校図書館に関する業務を担当するその他の職員と規定されている。

施策の方向

  • (ア)司書教諭の授業時数の軽減等
    司書教諭がその職責を十分果たせるよう他の教職員の司書教諭に対する理解を促し授業時数の軽減、学級担任外が望ましいことを働きかけていきます。週10時間程度の「図書の時間」を位置づけ、子どもたちの主体的な学習を支援すると共に、担当教師とのティームティーチングを行うこと、教育用ソフトウェアやそれを活用した指導事例等に関する情報提供を行うなど、学校図書館の教育的な活動面で中心的な役割を果たすことをめざしていきます。
  • (イ)司書教諭の配置促進
    学校図書館における司書教諭の重要性を鑑み、11学級以下の学校においても、学校の実情に応じて司書教諭が配置されるよう促します。
  • (ウ)いわゆる学校司書の全校配置の促進
    市独自で図書館司書や図書館補助員の雇用を行い、学校司書として全校配置できるようにしていきます。学校司書は、学校図書館の管理運営面の役割を担い、司書教諭との連携の中で学校図書館の活性化を図っていくことをめざします。

3 家庭・地域との連携

現状と課題

  • 学校図書館ボランティアの協力を得ている学校の割合は、小学校100%、中学校60%です。活動内容も各校の実態に合わせ、読み聞かせ活動、図書館の環境整備、蔵書のデータベース化の入力作業等が行われており、保護者や地域住民と連携した学校図書館運営が推進されています。
  • 学校図書館を地域開放している学校の割合は、小学校22%、中学校0%です。しかし、利用者は年間を通して10名程度にとどまっています。開かれた学校づくりの一環として、各校の実情に応じた取組の工夫が期待されるところです。
  • 磐田市では、小学校3年生を対象に「茶の間ひととき読書運動」を推進しています。その趣旨を受け、各校では家庭での親子読書を勧めたり、保護者ボランティアを募集して読み聞かせ活動を行ったりして、家族ぐるみで読書に親しむことができています。

施策の方向

  • (ア)図書館職員、ボランティアとの連携
    司書教諭を中心に、公立図書館職員、保護者や地域住民によるボランティア等の協力を得て、学校図書館の活性化を図ると共に、読み聞かせ等を充実することを促します。
  • (イ)先進的な事例の紹介
    各校での「茶の間ひととき読書運動」の活動を紹介したり、親子読書等の先進的な事例を紹介したりします。
  • (ウ)学校図書館の適切な開放
    子どもがいつでも本を読める環境づくりをめざし、ボランティアなどの協力を得るなどして開館時間の拡大(放課後の時間等)をめざしていくよう促します。また、長期休業中には、子どもの学習に応じた支援を行ったり、読み聞かせ会やビデオ鑑賞会等を開いたりして学校の実情に応じた適切な開放が進むよう促します。
  • (エ)家庭や地域社会を舞台とした取組
    子ども読書の日、親と子の読書フェスタ、読書週間などに親子(家族)読書への取組を働きかけていきます。

障害のある子どもの読書活動の推進

現状と課題

  • 養護学級では、一人一人の子どもの障害や発達段階に応じた教育を重視しています。教室に読書コーナーを設け、子どもの実態に合った本が身近に置かれているよう本の選書に配慮しています。また、読み聞かせ活動も回数を多く設け、子どもがいろいろな本と親しめる環境づくりに努力しています。
  • 障害の状態や発達段階に応じた図書資料等(さわる絵本や布の絵本、拡大写本等)の充実が求められています。

施策の方向

  • (ア)図書資料の積極的な購入
    養護学級経営消耗品費を有効活用し、生活単元などを行うにあたり資料になる図書や子どもの障害の状態に合わせた本を購入し、充実を図っていくよう促します。
  • (イ)障害の状態に応じた読書活動の体験
    授業の中で読み聞かせや絵本を使った授業展開を工夫し、子どもが言葉のひびきを味わい感性を豊かに育てるような読書活動の体験ができるようにします。
  • (ウ)読書環境の整備
    場所や空間の確保、書棚の高さの工夫、図書情報検索システムの導入、介助者の協力等、子どもの障害の状態に合わせた読書環境の整備を図ります。

在住外国人の子どもの読書活動の推進

現状と課題

  • 磐田市の学校においては在住外国人児童が増加しています。特にブラジル人の子どもが多いため、ポルトガル語版の教科書や図書資料の提供が望まれています。また、外国語版の本の読み聞かせを行う人材も不足しています。
  • 学級文庫に簡単な絵本を置いたり、学校図書館にポルトガル語の本のコーナーを設置したりして、読書環境づくりに努めています。
  • 母国語も日本語も読めないという子どももあり、家庭での読書に対する意識を高めていくような支援も必要です。

施策の方向

  • (ア)公共図書館との連携
    公立図書館から外国語版の本の団体貸し出しを受け、身近に子どもが読んで楽しめる本をそろえるよう読書環境の充実を図っていきます。また、公立図書館に出かけ施設紹介を行い、貸し出しカードを作成するなど、利用意欲を高めていくようにします。
  • (イ)家庭への啓発
    子どもの実態に合わせた本の提供を行い、親子で一緒に読書をするよう、家庭においての親子読書の奨励を促していきます。

努力目標

  • 朝読書・読み聞かせ実施学校数の割合(毎日実施)
    • 2005年:小学校100%、中学校100%
    • 2010年:小学校100%、中学校100%
  • 1か月目標読書冊数(毎日10分間読書)
    • 2005年:小学校7冊、中学校2冊
    • 2010年:小学校8冊、中学校3冊
  • 図書標準達成学校数の割合(計画的に予算化、公立図書館と連携)
    • 2005年:小学校13%、中学校0%
    • 2010年:小学校80%、中学校80%
  • 司書教諭配置学校数の割合(小規模(12学級未満)へ司書教諭としての週時数(10))
    • 2005年:小学校78%、中学校90%
    • 2010年:小学校100%、中学校100%
  • 学校司書配置学校数の割合(非常勤・嘱託、巡回訪問)
    • 2005年:小学校13%、中学校10%
    • 2010年:小学校80%、中学校80%

情報発信元

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