定例教育委員会 平成18年12月20日
- 日時
- 平成18年12月20日(水曜)午後4時30分から6時20分
- 場所
- 磐田市豊田支所3階302会議室
- 出席委員
- 北島委員長、寺田委員、乘松委員、滝浪委員、伊藤教育長
- 出席職員
- 教育総務課長 生涯学習課長 中央図書館長 文化財課長 福田教育課長 豊岡教育課長 学校給食センター長 教育総務課長補佐 学校教育課長補佐 学校教育課指導主事 教育総務課指導主事
- 傍聴人
- 0人
事務局が報告したもの(報告事項)
1 平成18年度要保護及び準要保護児童生徒の認定について(教育総務課長から)
10月1日と比較しますと、要保護が小学校で1名増です。社会福祉課で生活保護家庭にも認定されているということです。準要保護は小学校が8名増、中学校が5名増ということで、合計14名増の466人となっています。
区分 | 小学校 | 中学校 | 計 |
---|---|---|---|
要保護 | 3 | 2 | 5 |
準要保護 | 280 | 181 | 461 |
計 | 283 | 183 | 466 |
2 市議会11月定例会代表質問・一般質問事項報告(教育総務課長から)
代表質問は、各会派の代表議員が1名ずつ質問を行いました。公明党からは学校の安全確保ということで通学路の安全点検、防犯教室の開催、学校ボランティアの充実について質問がありました。五和会からはいじめ問題とふるさと先生の成果と19年度に向けての対応といったことについての質問がありました。日本共産党磐田市議団からは教育基本法改定についての見解、地域コミュニティの拠点としての公民館の今後の活用のあり方といったことについての質問でした。未来からはいじめについて、不登校への対応等についての質問がありました。開誠会からはいじめや自殺問題への対応、教師の社会人としての再教育の実施の考え、教育委員長の本会議出席についての考えなどについての質問がありました。
一般質問について5人の議員のうち4人の方が教育に関連する質問をされました。小野議員からはカラーバリアフリーに対する取組、小中学校への扇風機導入についての質問がありました。岡議員からは、公民館で行われている各種講座等についての質問がありました。稲垣議員からは、ふるさと先生関連や特別支援教育に関する質問がありました。鈴木議員からはいじめに対する対応、相談窓口などについての質問がありました。
詳しくはこちらへ(代表質問・一般質問)
教育委員会で協議したもの(協議事項)
1 磐田市の「いじめ」の現状について(学校教育課長)
担当課からの説明
Q 文部科学省のいじめの定義について
A 文部科学省は、毎年度末に「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の中でいじめの定義を「自分より弱いものに対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの。なお、起こった場所は学校の内外を問わないとする。なお、個々の行為がいじめに当たるか否かの判断を表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うこと。」としています。この定義は、平成3年9月の東京地方裁判所八王子支部で行われたいじめに関する裁判の判決文に、いじめとは、「学校及びその周辺において、生徒の間で一定のものから特定のものに対し集中的、継続的に繰り返される心理的、物理的、暴力的な苦痛を与える行為」とあるように、法的な問題としてのいじめを捉えつつも、あくまでも被害にあった児童生徒の立場に立って判断することという定義になっています。学校では、この定義にもとづいて、いじめの件数等の報告を行っていますが、日常の児童生徒への指導においては、この定義にとらわれることなく、子どもたちに望ましい人間関係がはぐくまれるよう、日常の場面を捉えた指導を行っています。
Q 児童生徒の自殺の状況について
A 文部科学省の調査によると、全体としては減少傾向にありますが、昭和60年ごろ、平成6年ごろには、いじめ報道やいじめが原因と考えられる自殺が相次ぎ、社会問題としても取り上げられ、昭和60年、平成8年の2回、文部省より「いじめの問題への対応に関する通知が出されています。今回、内閣府が主催する教育再生会議においても、いじめの問題についての緊急提言がされ、いじめは反社会的な行為として絶対に許されず、見て見ぬふりをする者も加害者であると徹底して指導すること。いじめを訴えやすい仕組みを設けること。学校は問題を起こす子どもに指導、懲戒の基準を明確にして毅然(きぜん)とした対応をとること。いじめ発生時には子ども、保護者に学校がとる解決策を伝えること。子どもや保護者が希望すれば、いじめを理由とする転校も認められることを周知すること。いじめにかかわったり放置、助長したりした教員に懲戒処分を適用すること。学校はいじめがあった場合、校長、教頭、生徒指導担当教員、養護教諭などでチームをつくり解決に当たること。教育委員会もチームを結成し学校を支援すること。学校は、いじめがあった場合、隠すことなく学校評議員、学校運営協議会、保護者に報告。家庭や地域と一体となり解決に取り組むこと。いじめ解決は家庭の責任も重大。地域も積極的にサポートすること。いじめ問題に政府が一丸となり取り組むこと。」などがあげられていました。12月4日には、文部科学省から、子どもを守り育てるための体制づくりのための有識者会議から、いじめ問題などに対する喫緊の提案についてが出され、「子どもが様々な大人に相談できる場面を作りましょう。」「学校の中に新たな子どもの居場所を作りましょう。」「万が一の場合の初期対応では、専門家が学校をサポートするようにしましょう。」「実態を把握・分析するとともに良い取組みを共有しましょう。」など4点について提案がされています。
Q 市内小中学校からのいじめの状況について
A 11月末現在で小学校30件、中学校16件です。このうち、現在小学校3件、中学校4件が継続観察中になっており、39件が解消となっています。具体的な例を紹介せていただきます。小学校では、朝の集団登校の時に、加害者児童数名が歩く速さが遅いことを責めて叩いたり、「ばか」「うるさい」などの傷つける言葉を繰り返し言ったりしていました。一緒に登校している児童がいじめられているのを見かねて、被害児童に「もうがまんしなくていい」といい、それを聞いていた保護者が学校に相談をしました。生徒指導主任と担任が加害者を呼び、事情を聞き、被害児童が言っていたことが事実だったことがわかり、いじめ対策委員会を開き対応について、話し合いました。その結果、加害児童が謝罪、保護者へもそれぞれに事実報告と指導過程の説明をし、今後について相談しました。保護者と教師が登校に付き添い見届けをし、再度いじめ対策委員会を開き、今後二度とこのようなことが無いようにするためにどのような指導をしていくか、話し合い、共通理解の下で日々の指導に当たっています。中学校では、部活動の部内で継続的に、悪口を言う、叩く、蹴る、つねるなどのいやがらせが、ある生徒に集中して行われていました。母親が子どもの様子に気づき部活動顧問に相談。顧問が各生徒に事情を聞き、その事実がわかりました。加害生徒が被害者に謝罪するとともに、加害者の保護者も謝罪しました。その際、校長も被害生徒と保護者に謝罪しました。部活動生徒全体には教頭、顧問が再度指導しました。その他の例としては、小学校では 集団で無視をする、文具などを隠す、「○○菌」という言葉のいじめ等が報告されています。中学校では 「キモイ」「ウザイ」など言葉によるいじめ。休み時間に、訳も無くパンチを毎日のようにするいじめ。自転車のタイヤの空気を抜くなど嫌がらせをする(未解決)等の報告がありました。小中学校ともに、人間関係のトラブルが原因であったり、その子の持つ特徴を揶揄したりするもの、面白半分で始まったことが次第にエスカレートしていったりしたものが見られています。
いじめの発見は、保護者によるものが19件、アンケートや観察から担任が発見したものが12件、いじめられた児童生徒からが12件、ほかの児童生徒からが2件、養護教諭が1件となっています。
いじめの報告の内容ですが「冷やかし、からかい(8件)」、「言葉での脅かし(16件)」、「暴力をふるう(6件)」「仲間はずれ(10件)」、「集団による無視(5件)」、「持ち物隠し(2件)」等になります。1件のいじめでも複数の内容があればそれぞれでカウントしていますので合計がいじめの件数よりも多くなっています。
Q いじめ問題に対する教育委員会の対応について
A 早期発見・早期対応に努めており、特に学校へ学期末や学年末の国、県の調査に加え、いじめの報告を毎月お願いし、いじめに対する意識化を図るとともに発見に努めています。電話相談では磐田市子ども相談室「あすなろ」にもいじめの相談が数件(4件)ありますが、ほとんど学校が把握をしており、解消にいたっております。同じ児童が繰り返すケースについては、サポート会議を教育委員会でコーディネートし児童相談所、市福祉、医療、学校が連携して解消に向けた取り組みができるよう取組んでいます。また、教員対象のエンカウンター研修会を毎年2回開催し、児童生徒の人間関係作りの指導方法について研修を行っています。次に9月からの対応ですが文部科学省への自殺予告、あるいはいじめによる自殺等でいじめの深刻な状況が連日マスコミで報道され、9月から11月までに、いじめに対する再点検、指導などに関わる通知「いじめの問題への取り組みの徹底」や「命に大切さについて再度指導をすること」「心配な児童生徒に対する確認や面談、家庭訪問の実施」等6回出しました。また、いじめについての報告や、調査依頼を5回してきました。11月の校長会では「いじめ」の発見対応等について研修を行いました。
Q いじめ問題に対する学校の対応について
A 早期発見のためにまず大切なことは、子どもの小さな変化を見逃さないことにあると考えますので、触れ合う時間を多くとる中で、孤立していないか、表情はどうか、何かを隠そうとしていないか、登校を渋る原因は何か等、行動の変化、持ち物や服装の変化、交友関係にも気を配り発見に努めています。また、「学校生活アンケート」や定期・随時の教育相談も行っています。「学校生活アンケート」から分かったことが本年度は4件ほどありましたが、より、子どもの悩みなどが調査に表れるよう各校に工夫を指導していきたいと思います。
また、いじめ対策委員会を校内分掌に位置付け、対策や対応を話し合っています。また、保護者への働きかけも学校だよりや学級懇談会等でしています。「いじめ予防」に向けての心の教育では、道徳や特別活動、人権教育、日常の言葉の指導など、あらゆる機会を通して行っています。
Q 文教産業委員会における議員さんからの意見
A 「教師の資質向上がいじめの対策だと思う」「いじめの発見は家庭であり、家庭の教育力が重要」「教育委員会にお願いしたいのは「情熱のある教師をいかにつくるか」に全力を注いで欲しい。」「根本は家庭にあり、モラルが低下している。学校現場において、教師と生徒の関係を大切にして欲しい。CAPの基本姿勢にもあるが、自分を大切にし、自分を守る力を育てて欲しい。子どもと触れ合い、見えない心を見て欲しい。そのためにも、健全な学級集団作り等を含めた教師の資質向上を目指して欲しい。」などのご意見をいただきました。
教育委員さんからの意見(主なもの)
いじめのパターンというのがあるように思います。つまり、1対1ではいじめにならない、3人以上のグループにおいてこれが1対2という構図になりいじめに発展するように思います。したがってこの「2番目」の人間をどのように指導するかということになろうかと思うのです。安易な誘いもしっかり断るという指導が大切でこれを放置しておくと大変なことになると思います。
いじめなどの問題の根底に、やはり家庭や地域社会といったものがあります。しかしいじめ問題が言われる中で、PTAの存在があまり前に出てきていないように思います。PTAが本当に自分たちの問題としてこういったことを考えているのかと感じます。PTAが組織活動にばかり目が向くと、個々の家庭にまで目が向かなくなります。教育熱心なドイツにはPTAはありません。ただ「両親の夕べ」といったような会がありまして、午後8時ごろから両親そろってよく学校に出向きました。こういった経験をもとに話をしますと、学校と家庭との距離を縮めるには日本のPTA組織というのはかえって邪魔になっていると感じることもあります。もっと学校と家庭の距離を縮める方策を採るべきではないかと思います。
学校側から「学校ではこういった問題で困っていますから助けてください」といった姿勢は見えないです。懇談会についても問題が表面化しているクラスでは親はたくさん集まりますし、「何も問題はない」と思っている親は参加しようとしません。学校はもっと親に「こういったことで困っています」といったことを見せてよいと思います。
両親が共働きで昔より忙しい感はあります。そう考えると、問題がおきないように予防策を充実させることになると思います。トイレでパンを食べたり地面に座り込んで食べたりするのは、結局は家庭のしつけということに行き着きます。こういったことを就学前から家庭・学校・地域が連携して取り組めるようなプランを作ることも1つではないかと思います。
教育長から
私は今、特別活動の見直しということを学校に求めています。教師が子どもたちに善悪の判断などについて指導するのはもちろんのこと、子どもたちが主体的に問題に直視し、本音で話しあうような学級の雰囲気作り、自立と共生の組織作りといった点を重視して教育課程を編成するように指示しています。
生涯学習課長から
いじめや問題行動に対応するために、生涯学習課では来年度、PTAの役員さんを中心に、警察署などの生の声を聞くような機会を作り、PTA活動を変えていくような仕掛けを行っていきたいと考えています。
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